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Pai-Thailand

2024.06

地獄へ落ちたのか、天国へ昇ったのか。理性を放棄し、本能の赴くままに生きた者たちの証がそこにある。

朝起きて、キッチンで顔を洗い メガネをかけると、皿に置かれたマンゴーの種子の上で、大量の蟻が群がり死んでいる。

巣へと食糧を運ぶことを忘れ、己の欲求を満たすために生きた蟻たちを眺め、パーイの朝が始まった。

とろけるように甘い太陽の果実にうずくまり、夕焼け色の液体が脳みそを溶かす。血管に絡みつき、骨の髄まで染み込んでいく。

気づいたときには肉体を忘れ、あの世行き。至極官能な甘味に誘われ行く次の先は、どの世うだろう。

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